部下のタイプに寄り添う「言葉のドレスコード」育成法

目次

タイプ分け診断にミスリードされない

タイプ別診断に、自分の判断を振り回されないように気をつけましょう。 大事なことは、部下の思考や行動傾向を理解することです。 「部下は、何を好み、何を嫌がるのか?」 「部下の重んじている価値観は何か?」 「部下が今までの人生で、最も力を入れたことは何か?」 「部下は、どんな時に自分の存在価値を感じることができるのか?」 部下の重んじている世界観を尊重しよう 部下が今までの人生で一番がんばったこと、努力したこと、夢中になったことになぞらえて、叱る、注意指摘、アドバイスなどを行うのです。

体育会系の上司と将棋部の部下の対極と共通点

河村晴美が社会人2年目に、1年下つまり新卒の男性部下の育成を担当した時のことです。 河村晴美は、学生時代にバスケットボール部でチームワークと補欠の存在価値を学びました。 また、小学生の時は水泳をして、自分の限界に挑戦する苦しさの中に努力の尊さを身体と思考とメンタルに刻みました。 さて、1年下の部下(仮にAさん)はというと、大学在学中は将棋部だったとのこと。 私は将棋は祖父と兄がしているのを横で見ていた程度。 全くやったことありません。 最初は、スポーツが上達する方法で部下にアプローチしました。 「まずやってみる」 しかし、部下はやってみるどころか「やみくもにやってみても無駄ですよ」と拒否されました。 体育会系の上下関係つまり上の立場の人が言うことは無条件で従うということも彼には通用しませんでした。 自分の正義を押し付けても、部下は動かない 早々に上司としての部下育成の烙印を押されてしまったのです。 ときに、自分の成功体験が、自分のまなざしをくもらせることがあります。 「まずは、行動せよ」ではなく「まずは、見よ」

部下の世界観でビジネスを伝える

しばらくして、Aくんがわたくしの指示を素直に聞くようになりました。 きっかけは、彼の世界観にお邪魔するようにしたことです。 具体的にいうと、彼への仕事の指示や指導を、すべて将棋の話にたとえたのです。

商談プレゼンするときシーンを部下の世界観で伝える

・提案書の内容を確認

「この内容で、王将とれる?」つまり「契約はとれるのか?」

・段取りの確認

「対局の道すじは、どう読んでるの?」つまり「シミュレーション」

・勝利するまでの段取り、仮説、見通し

「何手先まで読んでるの?」つまり「具体的な実行の選択肢の数と内容」

・全体を通した大局観

「相手はどんな出方をすると思う?」つまり「反論への理解と準備」

相手の世界観にお邪魔することは相手を尊重すること

河村晴美は、部下の世界観(Aくんの場合は将棋)将棋つまりに則り、仕事の指示や注意など行いました。 すると、Aくんはどんどんアイデアを出して仕事を前に進めていきました。 結果的に、私は指導が楽になりました。 何より、Aくんが嬉々として仕事を楽しんでいることが手にとるように分かりました。 彼本人が主体的に仕事を進めているので、どんな困難も乗り越えていきます。 自然と結果も出るようになりました。 その後、Aくんは所属部署の他の上司達からも認められて、仕事に手応えを感じるようになり、自信がもてるようになりました。

相手の発する言葉を重んじる行為が敬意を表す

部下を成長させるために、部下の世界観を重んじることは有効です。 その際、とても重要なことがあります。 それは、部下に敬意をはらい、教えてもらう謙虚な姿勢であることです。 あくまでも部下の世界観に、上司は外部者として訪問するのです。 相手のなわばりへ訪問するのですから、ドレスコードを合わせる必要があります。

「言葉のドレスコード」を合わせよう

ドレスコードとは、その場にふさわしい服装のことです。 例えば、舞踏会、結婚披露宴、冠婚葬祭、真夏のビーチ、学校…TPOに合わせて装いを変えることが求められます。 突飛な服装は、意外性や先駆的とは受けとめられません。 往々にして、場を乱します。 最悪の場合は、非常識とみなされて自分の意図まで否定されてしまいます。 部下の世界観を見せてもらいたいと思うならば、部下の言葉のドレスコードに興味をもちましょう。 「部下の口ぐせは何か?」 「どんな言葉に反応するのか」 「部下が話す言葉の背景には何があるのか?」 同じことを伝える場合でも、人ぞれぞれ言語化が異なります。 相手の使っている言葉を尊重し、その言葉の背景にある部下ならではの定義や意味づけを学びましょう。

言葉の言い換え

例えば、営業の新規開拓について、新卒Aくんへは「フィールドワーク」と伝えました。 さらに、Aくんは理系卒でしたので、新規開拓営業は市場調査であり、お断り文句をいただいてくる「実験」と伝えました。 ✅言葉の言い換え
・営業の「新規開拓」→「フィールドワーク」

・初めての仕事 →「実験」

・ミスや失敗の反省 → 「事実の検証」

・恥の体験 → 「学習のケーススタディ」
本人に親和性が高い言葉に言い換えることで、ハレーションを起こさずに、すんなり浸透させるよう、伝える側が一工夫すると結果的に伝わりやすくなります。

タイプ分け診断の注意点

無理やりに、部下をタイプ分けする必要はありません。 むしろ、よくある4つのタイプに押し込むことで、バイアス(偏見)や思い込みが生まれる懸念があります。 タイプ別というのは、あくまでも人を理解するための思考の補助線です。 タイプに当てはめて決めつけると、大事なことを見落としてしまうリスクがあります。 部下のこれまでの奇跡の行動や例外行動など、希少的経験を無視することになりかねないのです。 タイプ別を利用する場合は、あくまでも仮説であること、部下を理解するための類推する手がかあり程度であると思って利用しましょう。 タイプ分けが先にあるのではありません。 部下を理解するために、選択肢の1つといてタイプ分け診断があるのです。

常に事象から学ぶ姿勢「タイプ分けにミスリードされない!」

タイプ分けが大事なのではありません。 大事なことは、目の前の部下です。 部下を伸ばし成長をサポートするための方法の1つとしてタイプ分けがあるのです。 思い込みにからめ取られないように、冷静に事象を観察する姿勢が大切です。 今の自分は何かにとらわてれいないか? 自分を探るより、部下の理解に努めましょう。 物事の本質を抽出するまなざしで、部下を理解しパフォーマンスを向上させたいと思いませんか? 叱りの達人 パワハラ対策専門家 河村 晴美
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