【パワハラと指導の境界線】人間国宝の部下育成は寄り添いだった 2021 8/09 パワハラ対策 ほめる アンガーマネジメント ハラスメント パワハラ 叱る研修 怒る 2021年8月9日 目次文楽 人形浄瑠璃に学ぶ、師匠による弟子への思いやり 先日、国立文楽劇場にて、人形浄瑠璃を鑑賞しました。 その舞台は、いつもと異なる趣向で、演目3つの間に、若手による3名のトークショーがあったのです。 そのトークの中で、とても興味深いことを話されたのでした。 師匠(人間国宝)が、自分(一番下の弟子)に息を合わせてくれているのを感じました。 文楽は帝王学 トークショーに上がった若手3人というのは、文楽の構成そのものです。 ・語りを担当する太夫(たゆう) ・人形を操る、人形遣い ・音やリズム担当の三味線 それぞれが師匠について稽古し修行まっさい中です。 その中で 「師匠(人間国宝)が自分(一番下の弟子)に息を合わせてくれているのを感じました」 と話されたのは、桐竹勘介さん。 師匠は、人間国宝の、桐竹勘十郎先生です。 人形遣いは、一体の人形を、3人で動かすのです。 ・主(おも)使いは、師匠(顔を出したままで舞台に上がる) ・左腕担当は、兄(あに)弟子(顔は、黒子で隠されている) ・足担当は、弟(おとうと)弟子(顔は、黒子で隠されている) 3人が息を合わせて動かさないと、人形がてんでバラバラな動きになってしまいます。 人間国宝の師匠の息づかい、所作、芸への向き合い方を一番身近で学べるポジションは、帝王学そのものです。 師匠と弟子の関係 「師匠(人間国宝)が自分(一番下の弟子)に息を合わせてくれているのを感じました」 今回の演目は「二人三番叟」 二体の人形が、同じ動きをするという、とても難しい演出です。 二体のうち一体を勘助さんが主使いを担当したのですが、その動きについて、トークショーで語ってくれました。 「私が少し間が悪かったら、師匠は待ってくれはりました。 逆に、私が急ぎすぎたりすると、師匠は間をたっぷり取るように図ってくれはりました。 観客の皆さんにはわからないと思いますが、師匠の芸のすごさと愛情を感じました」 相手に合わせることこそ、至高の芸 何が、師匠を怖く感じさせるのか 進行役の女性の質問を受けて、さらに勘介さんは言葉をつむぎました。 「普段、師匠から怒られたりしないんですか?」 「そんなに怒ったりしないんです。意外かもしれませんが・・・」 意外ですよね。 師匠が弟子へ芸を仕込むのですから、かなりの緊張感かと予想しがちです。 それは、師匠のタイプによるようです。 ただ単に怒るのではなく、芸へ向き合う厳しさを全身で示めば、自ずと周囲に緊張感は醸し出されるものです。 真摯に芸を磨く姿そのものに、怒る行為すら消していく 師匠が弟子に合わせる気遣い 弟子を教え導くことが、師匠の大切な役割の1つです。 これを怠ると、連綿と続く伝統芸能が次世代へ引き継げません。 ビジネスにおいて、とかく部下が上司へ合わせたり察することで「気が利く」と評価されます。 しかし、人間国宝が弟子に合わせているのです。 それは、単におべんちゃらとか機嫌をとるとかの低いレベルではありません。 高次元の気遣いです。 パワハラを怖がると逆に部下から信頼されない パワハラと言われることを怖がる上司がいます。 確かに、熱心に部下指導した結果が「パワハラだ!」と訴えられたら、上司も溜まったものではありません。 しかし、上司が部下と疎遠になるほど、部下は「育成されていない」と感じて上司を信頼できなくなります。 実は、部下指導の放置、放任は、上司の評価も下げてしまいます。 なぜなら、組織の資源を活用できていない。 結果を出す責任を果たしていないからです。 パワハラと熱心な指導の境界線 パワハラとは何か パワハラに関して、厚生労働省に定義が明文化されて、さらに6種類に分類されています。 厚生労働省「あかるい職場応援団」によるパワハラ6類型 熱心な指導とは何か それは、部下へ向き合う際に、熱弁をふるうことだけではありません。 部下に直接伝えるだけではなく、仕事への向き合い方を示すという間接表現で伝わることもあるのです。 上司自身が、真剣に真摯に仕事を探究しているかどうか、その姿勢を部下は見ているのです。 かくれパワハラ「ネグレクト」 しかし、実はパワハラにはもう1つあるのです。 それが、ネグレクト(育成の放棄)です。 部下育成の放棄は、部下の能力発揮、成長機会を逃しているのです。 組織としては、損害なのです。 ネグレクトについて、詳しくはこちらのコラムをお読みください。 コラム:【パワハラ進化系】部下が挫折するのは上司のネグレクト(部下の育成放棄)だった 叱るとは「高抽象の気づかい」 上司は部下に対して、観察レベルを超えて、洞察することです。 観察とは、目で見て認識することです。 洞察とは、目で見える事象の背景、文脈など構造から類推する、察することです。 叱るとは「高抽象の気づかい」です。 部下がどのような状況なのか、何が足りないのか。何をすれば良いのか。 上司は、部下を俯瞰する視座がないと、高いレベルの支援できません。 単に褒めるだけでは足りないのです。 シンプルな一言を解像度を高めたときに、数珠玉の指導内容が紐解かれる ✅叱るとは ・今この瞬間に寄り添うから、部下の足りないことが見えてきます。 ・部下の将来を見通し、俯瞰するから今のうちに厳しく指導をするのです。 遠近を自在に変える視座をもつことで、部下育成ができるのです。 「高抽象の気づかい」でパワハラと言われない叱り方を探究してみませんか? 叱りの達人 パワハラ対策専門家 河村 晴美 《メルマガ登録をおすすめします!!》 叱りの達人メールマガジン 「叱るだけじゃない」 解決方法で、問題を解消しよう。 コミュニケーションを抜本的に見直してみるお役立ち情報です。 「それって、ホントに正しいの?」 「何が、そう思い込ませているの?」 思い込み、固定概念、先入観を解体し、新しい価値観の再構築のヒントになる内容です。 メルマガ登録すると、ブログにアクセスする手間がなくなります。 週2回程度、お昼ごろに届きます。 メルマガ登録は、こちらからどうぞ。 ]]>