【パワハラ防止と逆効果!?】上司の「ミスするな!」は逆にミスを増やす矛盾 2021 5/04 パワハラ対策 リーダーシップ 人材育成 叱る 2021年5月4日 目次パワハラ防止と逆効果!?上司の「ミスするな!」は逆にミスを増やす矛盾 職場で、上司が部下へ 『ミスするな!」と言う場面を見たことはありませんか? 実は、この言い方は全くの逆効果で、逆にミスを誘発させてしまうのです。 なぜ「ミスするな!」と言ってはいけないのか? 「ミスするな!」といったときに、はからずも部下の頭の中には「ミスしてしまった状況」のイメージが頭に思い浮かんでしまったのです。 そう、つまり、ミスする光景をわざわざイメージさせてしまったのです。 上司が部下をミスさせないつもりが、上司が部下へミスするように脳の使い方を導いてしまったのです。 パワハラ対策の部下指導に役立つ心理学 神経言語プログラミングという能力開発、心理療法があります。 神経言語プログラミングは英語で言うと、Neuro-Linguistic Programmingなので、通称NLPとも言われます。 神経言語プログラミングは、ジョン・グリンだー(言語学者)とリチャード・バンドラー(心理セラピスト)によって開発されました。 神経言語プログラミングの手法の1つに、否定命令があります。 否定命令とは、「〜をしてはいけない」と否定形なのですが、実は「〜」の光景を脳に想起させる命令をしているのです。 例えば、あなたはこう言われたらどうしますか? 絶対に、ピンク色の象をイメージしないでください いかがでしょうか? 「ピンク色の像をイメージしてはいけない」と言われているのに、あなたは「ピンク色の象」をイメージしてしまったのでないでしょうか? 私たちの脳は、否定語を理解する前に、言葉を想起している 「〜してはいけない」の前に「ピンク色の象」を脳の中にイメージしてしまっているのです。 「ミスするな!」は、わざわざ「ミス」を想起させるように命令してしまった。 否定命令そのものなのです。 哲学者カントによる言語論的展開 現代哲学の思考法のアプローチからも解説します。 例えば、子どもが良い行いをしたとき、それを見つけて「よくできたね」とほめることはよくあることです。 しかし、それは実は日頃からその子が良い子だと思っているので、良い子である事実に気づきやすくなっているのです。 つまり、先に言葉があり、認知は後から立ち上がってくるです。 ❌ 認知されて、言葉が立ち上がる ⭕️ 言葉があるから、認知される この考えを、哲学者エマニュエル・カントはコペルニクス的展開(言語論的展開)と言いました。 「ミス」と言語化し意識を立ち上げさせたことで、はからずもミスする行動を命令してしまったのです。 否定命令の解決策「ミスするな!」の言い換え 否定命令「〜してはいけない」の言い換えは、どうしたら良いでしょうか? それは、肯定言語にするのです。 ピンクの象を思い浮かべないように指示するのであれば、代わりの思い浮かべさせたことを伝えたらよいのです。 例えば「好きな動物を思い浮かべてください」とか。 「ミスするな!」の言い換え 例1 「手順書に沿って行って下さい」 例2 「この前伝えた改善点を仕上げて提出して下さい」 育成指導は、ミスを乗り越え、ミスの先のゴール達成まで支援することが大切です。 まとめ:パワハラ対策に現代哲学や心理学を応用させる パワハラをしたいと思っている上司はいません。 ただし、良かれと思っていた行為や言動が、逆効果をもたらす危険があるのです。 言葉は、わたしたちが思っている以上に相手へ影響を与えます。 言葉は、相手のみならず自分自身へも影響を与えます。 部下をゴール達成まで支援し、共に目的達成を喜び合う。 そのために、言葉の使用法について、特に人を導く立場の人は学ぶ必要があります。 上司も部下も共に成長する、共進化のコミュニケーションを身につけてみませんか? 叱りの達人協会 パワハラ対策専門家 河村晴美]]>