【部下育成の放棄か?】ルールを守らない部下を叱ることができない上司の罪

目次

ルールを守らない部下にほとほと困っています(管理職からの相談)

「ルールを守らない部下に対して、叱ってはいけないのでしょうか?」
上司の嘆き、実に生々しい現場の声でした。 〈状況説明〉 残業するほどの仕事量は無い。にも関わらず、部下が残業している。 残業する際のルールとして、会社では「事前に上司へ伝えること」と周知されている。 にもかからず、ある部下が、上司へ事前に連絡がなされていないとのことなのです。 会社としては、働き方改革の取組みもあり、残業を減らす方向で動いています。 そこで、上司は部下へ以下のように伝えました。 「ルールに則り、なるべく早く帰って欲しい」 そして、そもそも「残業の成果は?」と問うても、適当な言い訳で、はぐらかされたとのことなのです。 上司は、このような部下に対しても、厳しい叱責をしてはいけないと思い、根気強く、残業しないよう伝えたのです。 しかし、ある時、部下より 「仕事が終わってないにも関わらず、早く帰るよう、何度も言われて責められてる感じ。 なんか、ノイローゼになりそうだ。」 と、部下本人より、人事部へパワハラ相談の連絡が入りました。 そして、会社として、何とか対策を講じねばならないと人事部が介入することになったのです。

問題の放置は、全体へ悪影響を及ぼす

当事者の部下と上司へ注意するだけでは、また似たような事態が発生することは、容易に想像できますよね。 面倒なこと、厄介なことは触れない。 こうやって放置してしまうとことは、実は、単なる放置ではないのです。
問題の放置は、暗黙での肯定
部下側から見ると、問題の放置は、暗黙のうちに部下の態度や行動を許してしまっていると解釈されかねないのです。 部下の態度を助長させてしまうことは、組織を腐らせてしまうことです。 そのため、人事としては、この一件に対処療法をとっても意味がないと考えました。 そこで、階層別に、パワハラ対策および仕事の目的意識の再認識をお伝えさせて頂きました。
■上司の方へは →「パワハラと言われない正しい叱り方」

■部下の方へは →「叱られる作法」
時に、上司の方より聞かれることがあります。 「どうしたら、自分が思う通りに部下を動かすことができますか?」

「自分が思う通りに部下を動かすには、どうしたらできますか?」

その際、河村は、逆質問致します。 「あなたは、上司から動かされたいですか?」 部下の立場で考えてみましょう。 「上司の意のままに、動かされたいですか?」 イヤですよね。 そうです。人間は、自分の意志に従い、自主自立して動きたいのです。 人は、自分の意志で動く時に最高のパフォーマンスを発揮します。 よって、成長するためには、本人の意志を尊重して、能力発揮を後押しするのが良いのです。 しかし、それは万能ではありません。 実は例外があります。それは、以下のような場合です。 ✅成長を部下の意思に任せてはいけない制約条件
・仕事力が、まだまだのレベルの場合
・自己裁量権を持っていないレベルの場合
・全体構造を見通す、俯瞰力がないレベルの場合
上記のレベルでは、部下が仕事を最後までやりきる能力に至っていないために、うまくいかない確率が高いです。 残念ですが、それが現実。 では、どうしたら良いか。 だからこそ、部下の自主性で成長させるのではなく、部下の成長に上司が介入していくことが必要なのです。

部下自身に育成を任せては危険

人は、自分の意志で動く際に最高のパフォーマンスを発揮することは、自明の理なのですが、 部下本人の自由意志に任せて 「お好きにどうぞ」 では、上司はマネジメントを放棄してしまうことになってしまいます。
部下の成長は、自己責任ではない

部下の育成は、上司の仕事である
上司がマネジメントするべきことは何か? それは、部下自らが自分の意志で能力の向上することを支援することです。 よって、上司は部下に遠慮していてはいけないのです。

成長は、部下の自主性に任せてはいけない。上司が介入することが人材育成という

たまに「部下の意思を尊重して、成長は本人に任せています」という上司がいます。 はっきり言って、これは単なる上司の言い訳にすぎません。
部下育成の放任、問題の放置、上司の仕事の放棄
あらためて、今回の部下が勝手に残業をするという問題について、部下と上司のそれぞれに視点で見てみましょう。 ✅部下の視点
・残業しないと、収入が減る
・残業していることで、頑張っている努力を示したい
・努力の量で、評価してもらいたい
✅上司の視点
・残業しても、会社は評価はしない(むしろ、効率が悪いとみなされ評価は下がる)と伝える

・「会社のルールは何のためにあるのか?」本質をとらえる抽象思考で部下へ教える

・「成果とは何か?」組織で共有する

・売上より収益をあげる行動を全社員で取り組む
お互いの立場の一点張りですと、問題は解決しません。 上司は、部下の立場にたち、先回りして言ってくるであろう言い訳に対応するロジックを構築しておく必要があります。 そのためには、高い視点で俯瞰しないと、会話の構造設計はできません。 ✅低い視点の弊害
・自分と異なる意見を言われると受け入れられずに不機嫌になる

・自分が分からない事を示されると理解できないために拒絶する

・自分の立場を揺るがされるのではないかと不安になり、反転して攻撃する
低い視点のままですと、相手と関係性が築けません。 自分に固執するあまり、自分の成長を阻害してしまっていることに気づけないのです。 成長し続ける人は、相手の視点が低い場合も、低い視点に巻き込まれません。妥協はしていません。 相手と自分の立ち位置を高い視点から、俯瞰し見通しています。 そして、お互いに良き解決策を創り出し提案します。 今回の残業問題でいうと重要な視点が欠落しています。 ✅残業問題に欠落しているポイント
何の為に、仕事をしているのか?
目的意識が共有されていないことが問題の元凶なのです。 会社は、価値創造して世間から選ばれて、お取引先様から発注いただき利益を得ています。 それが、従業員の給料の源泉です。 これがないと、経営者は従業員へ毎月の給料を支払えません。 なので、経営者は、従業員に安心して仕事がしてもらえるように安定経営を考えて、経営効率を図ります。 つまり、事業発展につながらない出費は厳しくチェックするのです。 一方、世間から選ばれて発注されないと、従業員は自分の給料が確保されないのです。 ということがわかれば、当然のことながら、価値を生み出さない残業は、経営効率からはNGです。 それを助長させてしまっては、最悪の場合は、経営が傾いて、最悪の場合は倒産してしまうかもしれ無いのです。 視点を高めて俯瞰してみる。 つまり、仕事の目的に鑑みれば、自分の立場に固執するのが、無意味であることに気がつきますよね。 しかし、それでも人間は自分を守りたいと意固地になる場合もあります。 なぜ、そうなるのか? ✅人間が自分を守りたいと意固地になる理由
不安になりたくない。安心を得たい。それが人間の本能。
自分の経験や感情は、ハンパなく臨場感が高いです。 だって、本能ですから。 だからこそ、どう向き合っていけば良いのか。

「楽して稼ぐ」に、だまさられるお人好しの特徴

「楽したい」本能を、どうやって野放しにせずにコントロールするのか。 結論として、思考力を磨くことです。 大変そうですか? 難しそうって思いましたか? そうなんですよね。 人は、誰しも楽をしたいのです。 楽して稼ぎたい。 だから、頭を使わずに頑張ってる風に見せる「残業」に刹那的に依存して、現実逃避しているのです。
残業は見せかけの努力。自分の人生の切り売りにすぎない
社員が成果が上がらない残業をして、残業代を会社に請求する。 こんなことを続けていたら、会社は倒産してしまいます。 どうしたら、良いか。 それには、価値ある仕事を創造するしか無いです。 そのためには、思考力を磨くことです。 思考力を身につけるには、一朝一夕には身につきません。 楽してカンタンには無理です。 もし、「楽してカンタンに思考力が身につきます」を言っている人がいるならば、それは思考停止している人を集めている誘い文句です。 カンタンに身につくのであれば、お金に困ったり、問題解決ができずに悩んだりしている人はいないはずです。

ルールを守らない部下を強制すると思考停止におちいる

「いいから、俺の言うことをきけ!」 「お前は何も考えなくていいんだ!」 上司が部下へこう言うと、思考停止に陥ってしまいます。 これは、上司が部下を動物のように扱っているのです。 ✅部下を動物的に接する態度
・調教
・飼育
・洗脳
これでは、部下は指示待ち人間どころか、思考停止、行動停止、つまり上司がいちいち言わないと動かない人材になってしまいます。 では、どうやったら自分のアタマで考えて行動する人材に育つことができるのか? ✅自主自立して動く人材の育成方法
・教育
・強育
・共育
人を宝に、組織の財産にする。これが「人財」育成方法です。 部下を教育するのは、強く育てるためです。 強く育てようとしたら、ぬるま湯、温室では、社会の理不尽さの中では生き抜けません。 よって、叱ることで、強く育てることができるのです。 では、部下を強く育て、社会で通用するスキルを身につけさせるにはどうしたら良いか? 正しい叱り方を、上司は学ぶことが大切です。 上司が学ぶと、部下が育つのです。 こうして、上司が成長する背中を見せることで、 部下も自分自身を成長させ続ける尊さを感じます。 これが「共育」です。

まとめ:ルールを守らない部下を育成することで上司が成長できる

部下は感じています。
・自分の立場を固執した上司から操作されたくない

・自分を高める努力を怠っている上司から叱られたくない

・「成長が大事」と言っているならば、上司自身が成長していないと説得力がない
一方で、部下はこうも思っているのです。 本当に自分に向き合ってくれる上司であれば、真剣に叱って自分の能力を引き出してほしい つまり、部下は「自分が成長できるならば、叱って伸ばしてほしい」と思っているのです。 厳しさとは、甘えさせるのではなく、声を荒げるのでもありません。 冷たくあしらうことでもありません。むしろ、厳しさとは温かみの気づかいの中に存在します。
叱るとは、高抽象の気づかい
単に、表面をなでるだけのほめ方は、相手の能力を愚弄しています。 部下の努力の背景を類推して、闇に光を照らすように言葉であきらかにすることが、高抽象の気づかいです。 部下の日頃の変化を観察していないと、部下に届く叱り方はできないのです。 ■叱るとは高抽象の気づかい 叱りの達人 パワハラ対策専門家 河村晴美]]>

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