できる上司ほど陥りがちな「部下育成の罠」5選 2025 4/14 コラム 2025年4月14日 その“正しさ”が成長を止めていませんか? こんにちは。叱りの達人 河村晴美です。今回は特に、優秀な管理職・マネージャーの方向けにお届けしたい、とても大切なお話です。 「できる上司ほど、育成において“罠”に陥りやすい」 という事実。 部下を思う気持ち、チームの成果を出したいという責任感。それが強い上司ほど、実は“やってはいけない育て方”をしてしまうことがあります。 この記事では、現場でよくある育成の罠を5つご紹介しながら、ありがちなNGセリフと、その代替となるOKセリフを記しています。そして、それぞれの背景にある心理学的根拠も解説していきます。それでは、さっそく一緒にみていきましょう。 目次罠①:自分の成功体験を押しつけてしまう 解説 上司として「昔はこうだった」「俺はこうして成功した」と言いたくなる気持ち、よくわかります。でも、そのまま押しつけると、部下の自主性や創造性を奪ってしまうことも…。 NGセリフ「俺の時代はこうやって乗り越えたんだよ」 OKセリフ「君ならどうやって乗り越える?必要があれば、私の経験もシェアするよ」 心理学的ポイント|自己決定理論 人は「自分で選んでいる」という感覚(自律性)があると、やる気が持続します。“やらされ感”より“やってみたい感”を育てる声かけが鍵です。 罠②:すぐに答えを教えてしまう 解説 部下が困っていると、つい助けたくなる。ですが、それでは「考える力」が育ちません。“答えを与える”より、“問いを与える”ことが育成になります。 NGセリフ「こうすればいいんだよ、これやっておいて」 OKセリフ「まず君の考えを聞かせて。そのうえで一緒に最適解をさがそう」 心理学的ポイント|ソクラテス式問答法 問いかけによって気づきを促す手法です。人は、自分で答えを導いたとき、学びを“自分ごと”にできますし、責任も引き受ける自責マインドが育ちます。 罠③:叱る=正すと勘違いしてしまう 解説 叱ることは「相手を懲らしめる」ことではありません。信頼を損なわずに、行動を変えること。それが本来の“改善のフィードバック”です。 NGセリフ「なんでこんなこともできないんだ!」 OKセリフ「この結果についてどう感じてる?一緒に改善点を見つけよう」 心理学的ポイント|アドラー心理学・勇気づけ ミスを責めるよりも、「やり直す力がある」と信じて関わることで、人は前向きに変わろうとします。 罠④:期待をかけすぎてプレッシャーにしてしまう 解説 「期待してるよ」は時に“重圧”になります。信じているなら、行動ではなく“存在そのもの”を認めることも大切です。 NGセリフ「これぐらいできて当たり前だろ?」 OKセリフ「チャレンジしてくれることが嬉しい。結果だけじゃなく、過程も見てるよ」 心理学的ポイント|ピグマリオン効果/ラベリング理論 「できるはず」とラベリングされすぎると、失敗できない怖さから動けなくなります。“プロセスへの共感”が、継続的なチャレンジを支えます。 罠⑤:褒めが結果に偏りすぎている 解説 成果が出たときだけ褒めると、「成果が出ないと価値がない」と部下は誤解します。努力、挑戦、改善プロセスなど“日常の積み重ね”にも光を当てましょう。 NGセリフ「数字が良ければ、それでいいんだよ」 OKセリフ「地道な準備も見てるよ。努力の積み重ねが今日の成果だね」 心理学的ポイント|認知的評価理論 褒め方を間違えると、“やらされ感”を生むことがあります。「努力や工夫を見てくれている」と実感させることで、内発的なやる気が育ちます。 まとめ|部下は“変える対象”ではなく、“引き出す対象” 上司の役目は「教え込むこと」ではなく、部下の中にある力を「引き出すこと」。 正しさや経験を伝えるだけではなく、「問いかけ」「共感」「勇気づけ」で、部下自身が“動きたくなる”関わり方を意識してみてください。 今日からできる、小さな声かけの変化が、部下の未来とチームの成長に、大きな影響を与えるはずです。 コラム よかったらシェアしてね! URLをコピーしました! URLをコピーしました!