できる上司ほど陥りがちな「部下育成の罠」5選

できる上司ほど陥りやすい罠について厳選5つを提示し解説をしています。

その“正しさ”が成長を止めていませんか?

こんにちは。叱りの達人 河村晴美です。
今回は特に、優秀な管理職・マネージャーの方向けにお届けしたい、とても大切なお話です。

「できる上司ほど、育成において“罠”に陥りやすい」

という事実。

部下を思う気持ち、チームの成果を出したいという責任感。
それが強い上司ほど、実は“やってはいけない育て方”をしてしまうことがあります。

この記事では、現場でよくある育成の罠を5つご紹介しながら、ありがちなNGセリフと、その代替となるOKセリフを記しています。
そして、それぞれの背景にある心理学的根拠も解説していきます。
それでは、さっそく一緒にみていきましょう。


目次

罠①:自分の成功体験を押しつけてしまう

解説

上司として「昔はこうだった」「俺はこうして成功した」と言いたくなる気持ち、よくわかります。
でも、そのまま押しつけると、部下の自主性や創造性を奪ってしまうことも…。

NGセリフ
「俺の時代はこうやって乗り越えたんだよ」

OKセリフ
「君ならどうやって乗り越える?必要があれば、私の経験もシェアするよ」

心理学的ポイント|自己決定理論

人は「自分で選んでいる」という感覚(自律性)があると、やる気が持続します。
“やらされ感”より“やってみたい感”を育てる声かけが鍵です。


罠②:すぐに答えを教えてしまう

解説

部下が困っていると、つい助けたくなる。ですが、それでは「考える力」が育ちません。
“答えを与える”より、“問いを与える”ことが育成になります。

NGセリフ
「こうすればいいんだよ、これやっておいて」

OKセリフ
「まず君の考えを聞かせて。そのうえで一緒に最適解をさがそう」

心理学的ポイント|ソクラテス式問答法

問いかけによって気づきを促す手法です。
人は、自分で答えを導いたとき、学びを“自分ごと”にできますし、責任も引き受ける自責マインドが育ちます。


罠③:叱る=正すと勘違いしてしまう

解説

叱ることは「相手を懲らしめる」ことではありません。
信頼を損なわずに、行動を変えること。それが本来の“改善のフィードバック”です。

NGセリフ
「なんでこんなこともできないんだ!」

OKセリフ
「この結果についてどう感じてる?一緒に改善点を見つけよう」

心理学的ポイント|アドラー心理学・勇気づけ

ミスを責めるよりも、「やり直す力がある」と信じて関わることで、人は前向きに変わろうとします。


罠④:期待をかけすぎてプレッシャーにしてしまう

解説

「期待してるよ」は時に“重圧”になります。
信じているなら、行動ではなく“存在そのもの”を認めることも大切です。

NGセリフ
「これぐらいできて当たり前だろ?」

OKセリフ
「チャレンジしてくれることが嬉しい。結果だけじゃなく、過程も見てるよ」

心理学的ポイント|ピグマリオン効果/ラベリング理論

「できるはず」とラベリングされすぎると、失敗できない怖さから動けなくなります。
“プロセスへの共感”が、継続的なチャレンジを支えます。


罠⑤:褒めが結果に偏りすぎている

解説

成果が出たときだけ褒めると、「成果が出ないと価値がない」と部下は誤解します。
努力、挑戦、改善プロセスなど“日常の積み重ね”にも光を当てましょう。

NGセリフ
「数字が良ければ、それでいいんだよ」

OKセリフ
「地道な準備も見てるよ。努力の積み重ねが今日の成果だね」

心理学的ポイント|認知的評価理論

褒め方を間違えると、“やらされ感”を生むことがあります。
「努力や工夫を見てくれている」と実感させることで、内発的なやる気が育ちます。


まとめ|部下は“変える対象”ではなく、“引き出す対象”

上司の役目は「教え込むこと」ではなく、
部下の中にある力を「引き出すこと」。

正しさや経験を伝えるだけではなく、「問いかけ」「共感」「勇気づけ」で、部下自身が“動きたくなる”関わり方を意識してみてください。

今日からできる、小さな声かけの変化が、部下の未来とチームの成長に、大きな影響を与えるはずです。

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