なぜパワハラ巡査部長が生まれるのか?腕立て500回命令の背景とは

目次

パワハラ防止の指導の前に必要なこと

パワハラを防止するために、多くの場合は、新ルールを策定したり、またルールの徹底の実践教育など、目に見える取組みに焦点が当てられがちです。 しかし、それは、顕在化された表面の取組みにすぎません。 本当に再発防止を掲げるのであれば、パワハラが起きた問題の背景分析に焦点を当てる必要があります。 「何が、今回のパワハラを起こさせたのか?」 加害者の状況、人格に焦点を当てると、「なぜ、パワハラが起きたのか?」という問いが立ち上がります。 構造という背景を分析する 組織で働く場合には、個人の意志もされることがら、組織という構造からの影響も大きいものです。

固定概念の連鎖を断ち切る

世の中には様々なお仕事があります。 仕事で体力が必要とされる場合には、普段から体を鍛えておくことは業務上必要です。 重い装備を着けて行動する仕事もあります。 そのような仕事の場合は、普段から体力強化のために、走行や腕立て伏せは必要な業務です。 しかしながら、本来の目的とは異なり別の意味合いになると、体罰になってしまいます。

なぜ、体罰が無くならないのか?

体罰が無くならない原因は、2つです。 それは「思考停止」と「甘え」によるものです。

1.上司が「思考停止」している

部下へ指導する目的は、何でしょうか? 「そんなこと、言われなくてもわかっている。部下の成長のためだ」 その通りですよね。 しかし、意外かもしれませんが、この目的がぶれている場合があります。 部下の成長のためではなく、上司の自己保身、自己弁護。 さらには、マウントトークだったりする場合があります。 上司が発する部下への指導(もどき)の言葉は、本当に部下の成長に寄与しているのでしょうか? 効果を発揮しているのでしょうか? その判定は、シンプルです。 部下の行動変容が起きているのか? 部下は、成果が上がっているのか? 部下は、成長を実感しているのか? 部下の仕事のパフォーマンスを観察すれば気づけます。 もし、上記の変化が見られない場合は、上司は部下への関わり方を変化させる必要があります。 上司が、部下指導の方法について「思考停止」してはいけません。 上司が進化することで、部下も進化していくのです。

2.上司が部下に甘えている

①「オレが若い時には、こうやって鍛えられてきたんだ」

こうやって苦労してきたんだから、お前も苦労しろ、と自分の辛かったことをそのまま部下へ行うタイプです。 これでは、延々に連鎖されていきます。 この負の連鎖を断ち切っていかなければいけません。

②「これくらい言っても(やっても)良いだろう」

上司が部下に対して、「これくらい言っても(やっても)良いだろう」つまり許されると認識しているために出る言葉です。 同じ言葉を、自分の上席へも言えるでしょうか? (う、う~む) 少しで躊躇があれば、相手を見て強気で出たり、腰が引け弱気で出たりしているということです。 重要なことや、相手のために必要なことであれば、自分の上席であっても部下であっても、敬意をはらいつつ率直に伝えることは大切です。

■現状維持は「退化」である

「何の為の部下指導なのか?」 目的を明確にすると、方法が適切かどうかの判断ができます。 腕立て伏せ500回よりも、もっと適切な指導法があるはずです。 その選択肢を増やして広げるためには、創造的思考を磨くことです。 体力強化も大切ですが、思考力強化は、現代においてはどんな仕事であっても必須のスキルです。 なぜならば、思考力こそが、問題解決であり、創造力であり、他者を尊重することでもあるからです。 部下へ「つらい思いをさせてしまった」と上司が自分自身を省みることは、部下への思いやりの想像力がなせることです。 まさに、思考力の発動ですね。 業界のルール、職場の決まりごと、それらを鵜呑みにして踏襲しているということは、まさに「思考停止」状態です。 現状維持は、実は「維持」ではありません。 社会が「進化」している中で、構造的視点で見ると、現状維持は「退化」しているのです。 組織も自分も、今の社会を生きています。 社会の「進化」に合わせて、常にアップデートし続ける必要があります。 パワハラに対する世間の認識、パワハラの線引きラインについて、仲間うちで行っていることこそが、封鎖思考に陥ります。 世間の認識とズレないために、社会へ拓けた思考を取り入れていきませんか? 叱りの達人協会 パワハラ対策専門家 河村晴美]]>

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