叱り上手な上司ほど出世する。部下の懐に飛び込む上司の戦術とは

「怒る」と「叱る」のちがいとは 「怒る」とは、自分の感情です。 よって、怒る感情をコントロールすることは、自分のために行うことです。 ひるがえって、「叱る」とは、自分以外の誰かに対して行うことです。 つまり、「叱る」は誰かのために行うことなのです。

叱り方の上手な上司ほど出世する

①部下へ何を言うか(What)

「叱る」ことが機能するためには、信頼関係の土台づくりが必須です。 土台が盤石でない状況で、厳しい指導をするとパワハラと言われます。 信頼関係の土台がしっかりできていれば、部下は上司の厳しい言葉や指導を肯定的に受けとめることができるのです。

②部下へどのように言うか(How)

部下の機嫌をとるような遠慮をすると、かえって逆効果です。 上司の仕事は、部下を動かすことです。部下を動かして成果を上げることです。 だからこそ、部下が指示待ちになったり、やる気のアップダウンや気まぐれで仕事のパフォーマンスが変動するようではいけないのです。 ・やる気の有無で、部下を評価してはいけない →やる気ではなく、成果と実行を評価しましょう。 ・「ほめられないのでがんばれない」と言わせてはいけない →「ほめられたい」は依存であり甘えです。 ほめるのではなく、具体的な事実をフィードバックしましょう。

③なぜこの仕事をするのか?(Why)

仕事の目的、理由、意義を言語化して、部下へ伝えましょう。 そして、なぜ部下がこの仕事を担当する必然性があるのかの理由も言語化しましょう。

・この仕事を今、担当するとどんな将来が拓けるのか?
・この仕事を今、引き受けなかったら、どんな機会損失があるのか?
・この仕事を今、自分が取り組む意味や理由は何か?

上司からの問いかけが部下の自己尊厳を育てるものです。 ちょっと大げさかもしれませんが、部下に「自分の存在価値」を実感してもらうアプローチです。

自己尊厳を高めることで「甘え」を排除する

他者を「かわいそう」と見るのは相手への侮辱です。 相手を心から尊重し、自己尊厳を重んじる姿勢は、相手と自分は対等であると見ています。 部下の自己尊厳を伸ばすために、上司は「上から目線」をやめましょう。 部下と対等であるとことを示す姿勢は、「部下を信じている」というスタンスです。 「君ならできると信じている」 部下は、今は上司が期待するレベルでないとしても、未来の成長に託して「きっと今より成長する」と信じることで、スキルアップ、仕事のやり方を指導し教えるのです。

放置・放任・放棄は上司失格

ただし、アドバイスや支援を放棄してはいけません。 上司が部下の相談にのらないことは、放置です。 委任とは、任せて委ねるつまり権限移譲です。 委任と放任は全く異なります。 部下に担当する案件に関心を寄せないということは、仕事の放任です。 上司は部下をマネジメントしていないので、どうしても我流にならざるを得ません。 部下は仕事のコツを学ぶ機会が少ないので、仕事の型が見についておらず、結局は仕事の効率も悪いのです。

上司が部下の懐へ飛び込め

放棄ではなく、部下は必ず今よりも成長すると信じましょう。 放置ではなく、部下へ進捗をもとめて、上司はフィードバックをしましょう。 放任ではなく、部下へ積極的に声かけをしましょう。 「一隅を照らす」 比叡山延暦寺を開祖した最澄の言葉です。 叱る時も同じです。 部下の仕事ぶりにスポットライトを浴びるように、日頃の感謝を伝えます。 その上で、部下の未達なこと、足りないこと、できていないことを具体的に言語化して伝えるのです。 部下への声かけは、たとえば以下のように短い言葉でOKです。 「大丈夫?イケてる?」 「どんな感じ?」 「困ったことはない?」 話しやすい関係性が築けたのちに、厳しいことを伝えることができるのです。 「まだできると思うよ」 「もう一歩、もう一段上のレベルでできるはずだよ」 「まだ君の本領発揮になっていない」 「このクオリティで私がOK出すと思った?」 「おかしい。今の君ならばもっと高いアウトプットが出てくるはずだ」

叱り上手は得をする

「怒る」ことを行うと、自分がイライラします。精神衛生上もよくありません。 「叱る」ことを行うと、部下の成長を支援するモードに変わります。 「叱る」ときのコツは、分解することです。 例えば、部下が行った取組みについて、意図はOK。しかし、方法はNG。 このように、思考(意図・目的など)と実行(実践したこと)を分けてそれぞれにフィードバックをするのです。

まとめ

若手社員は、叱られるのがイヤなのではありません。 理不尽な言われ方や、理由の説明がなかったり理屈が通っていないことが納得がいかないのです。 「嫌われたくない」と自己保身に走る上司を、部下は冷ややかに見つめています。 若手社員ほど、人生100年時代を生き抜くために、自分のキャリアやスキルには敏感。 若手社員は自己成長のために、部下自身に率直かつ役立つアドバイスを求めています。 上司は部下の能力発揮を手助けして、 「あともう一歩!」 部下は、まだ見たことのない自分の成長した姿に出会いたいのです。 それを引き出した上司が、部下から尊敬を集めるのです。 甘えを排除し、厳しさが受け入れられる叱り方を身につけてみませんか? 叱りの達人協会 パワハラ対策専門家 河村晴美  ]]>

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