離職防止・職場定着を叶える!若手マネジメントの不変の原理原則3選

離職防止と職場定着を叶えるマネジメントの「原理原則3選」について、人財育成の専門家であり、今まで26年間&のべ16万人以上へ人材育成の講演研修コンサルティングの実績のある、叱りの達人河村晴美氏による、ブログ記事です。

離職防止・職場定着を叶える!若手マネジメントの不変の原理原則3選

目次

はじめに:なぜ、若手社員の離職が止まらないのか?

「最近の若手はすぐに辞めてしまう」「何を考えているのかわからない」——。

人財育成の現場で、このようなお悩みを伺う機会は後を絶ちません。採用コスト、育成コスト、そして失われた生産性を考えると、若手1人の離職が企業にもたらす損失は計り知れません。生産性の低下、既存社員の士気低下、企業イメージの悪化など、影響は広範囲に及びます。

その根本的な一因は、上司の“思い込み”による一律(いちりつ)のマネジメントにあると、私は考えます。

「自分が若手の頃はこうだったから」「全員に同じ基準で接するのが公平だ」といった良かれと思っての対応が、実は若手社員のエンゲージメントを下げ、離職の引き金になっているケースが多いのです。

若手社員といっても、仕事に対する価値観、キャリアへの動機、そして「叱り」に対する捉え方は千差万別です。
だからこそ、一律の対応ではなく、タイプごとの特性を深く理解し、それぞれに合わせたマネジメントを行うことが、離職を防ぎ、職場定着率を高めるための最重要課題となります。

本記事では、「叱りの達人」であり人財育成の専門家として、この現代的な課題を解決するために不可欠な、離職防止と職場定着につながるマネジメントの「不変の原理原則3選」を具体的に解説します。


離職防止と職場定着を叶えるマネジメントの「原理原則3選」

小手先のテクニックではなく、若手社員との強固な信頼関係を築き、長く活躍してもらうための「土台」となる3つの原則をご紹介します。

原理原則1:【理解の土台】「褒め」でも「叱り」でもない!日常の「承認」で信頼残高を積み上げる

多くのマネージャーは、成果を出すために「褒める」か、問題行動を正すために「叱る」かの二択になりがちです。しかし、若手社員が必要としているのは、その中間にある「存在承認」です。

これは、「君がいてくれて助かる」「いつも資料をすぐに準備してくれてありがとう」といった、その人の仕事ぶりや存在そのものを認める非公式なコミュニケーションを指します。

具体策:
1日3回、「ありがとう」と「助かったよ」を相手の目を見て伝えることを意識しましょう。特に成果が出ていない時でも、プロセス努力に目を向けて声をかけます。

効果:
若手は「自分の仕事は誰かに見られている」「自分はこのチームに必要な存在だ」と感じ、職場への帰属意識が高まります。
この信頼残高があるからこそ、指導(叱り)が「攻撃」ではなく「期待」として伝わります。

原理原則2:【価値観の可視化】「仕事の動機」を対話で把握し、ミスマッチを防ぐ

若手社員の離職の大きな原因の一つに、「仕事に求める価値観と、与えられた仕事内容とのミスマッチ」があります。若手が仕事に求める動機は、給与や昇進だけでなく、「成長実感」「ワークライフバランス」「社会貢献」など多岐にわたります。

この動機付けの源泉(モチベーター)を知らずに一律の目標設定をしても、エンゲージメントは向上しません。

具体策:
1on1ミーティングの際に、「今、仕事で最も楽しめていることは何ですか?」「逆に、少し負担に感じていることは何ですか?」というオープンな質問を通じて、本人の仕事の動機を把握し、業務のアサインや目標設定に反映させます。

効果:
本人の価値観に合った業務の比重を増やすことで、内発的な動機付けが促され、エンゲージメントが向上します。「この上司は自分を見てくれている」という安心感が定着につながります。

原理原則3:【叱り方の最適化】感情論を排し、「期待」を伝えるプロの叱り方へ

叱りの達人として最も強調したいのが、「叱り方」の質を向上させることです。
多くの若手社員は、感情的に怒られることや、自分の人格を否定されるような叱責に強く反発し、それが離職を考える決定的な要因となります。

若手社員が求めているのは、感情的な非難ではなく、「どうすれば成長できるか」という未来への道筋です。

具体策:
叱る際は、以下の3ステップを徹底します。
ステップ1. 事実のみを冷静に指摘する
(例:「報告が締め切りに3時間遅れた」)。
ステップ2. その行動がチームや会社に与える客観的な影響を説明する
(例:「後続のAさんの作業が全てストップした」)。
ステップ3. 最後に、「私は君にはできると期待している」というメッセージを添えて、改善策の実行を促す。

効果:
叱責を「指導」としてポジティブに捉えられ、行動改善につながります。この原則を徹底することで、若手社員のメンタルヘルスを守りながら、成長を加速させることができます。


まとめ:真の育成の鍵は「リスペクト・コミュニケーション」にあり

若手社員の離職防止と職場定着は、企業の未来を左右する重要な経営課題です。

「若手が辞めてしまう」と嘆く前に、まずはマネジメント側が「一律のマネジメント」という思い込みを手放すことが、すべての解決の糸口となります。

そして、最終的に私たちが目指すべきは、単なる「叱り方の上達」ではありません。

「叱る」部下指導が有効なのではなく、「うまい叱り方」の本質は、部下メンバーが有しているけど未だ発揮していない、能力や才能を信じて引き出そうとする、リスペクト・コミュニケーションこそが大事なのです。

本日ご紹介した3つの原理原則(承認、動機把握、期待を伝える指導)は、すべてこの「リスペクト・コミュニケーション」の実践に集約されます。

これらの原則に基づいた指導を行うことで、若手社員一人ひとりが持つ力を最大限に引き出し、「このチームで成長したい」と思える、活気ある職場を作り上げていきましょう。

叱りの達人協会 公式サイトでは、若手社員のタイプ別指導法や、「リスペクト・コミュニケーション」を軸とした効果的な育成に関する詳細なノウハウを公開しています。
ぜひ、貴社の持続的な人財育成にご活用ください。
講演・研修・コンサルティングのお問い合わせ先は、こちらです。お気軽にお声がけくださいませ。


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