リーダーは衝突・混乱を恐れなくて良い【成果を創るたった1つの条件】

目次

リーダーはチームの衝突・混乱を恐れないで良い

はじめてリーダーになった方、チームやプロジェクトを率いていくマネージャーのあなたへ。

「はじめてメンバーをもたされて、どうやっていったらいいだろう…」
「メンバーは頑張ってくれているのに、なぜか伸び悩んでいる…」
「そもそも、自分自身がどうやってリーダーシップを発揮していったら良いのか迷っている…」

と感じていたり、悩んでいたりしませんか?

そこから抜け出すためにはどうしたらいいのか。さらには、チームが一体感をもち、成果を出すチームに生まれ変わり、成長が加速していく。このようになるのが理想ですよね。
そのヒントととなる、成果を出せるチームの成長プロセスを解説いたします。

では、さっそく入っていきましょう!

ゴール達成するチームVSゴール達成できないチーム。その違いは?

パッと見ると、チームのメンバー同士の仲は悪くなく、挨拶や雑談など、和気あいあいとお互いにコミュニケーションを取り合っている。、けれども、実は目標達成ができない月が続いている。

そういえば、目標達成に向けた定例ミーティングでは、メンバーからの意見に反対意見が出ることはほとんどない。
注意深く振り返ってみると、メンバーは上司である自分の意見に反対どころか自分の意見を述べることもなく、ただ従っているだけの状態になっている。よく考えると、誰も自分の意見さらに意志を発信していない…。

実は、これが伸び悩んでいるチームや組織に共通する状態です。伸び悩んでいるこの状態から「成果を出せるチーム」へと成長し、それぞれメンバーがさらに飛躍できるようになるにはどうしたらいいのでしょうか?

リーダーまた経営者はメンバーや社員たちの衝突を恐れてはいけません。そう説くのは、叱りの達人として多くの企業そしてメディアで活躍されている叱りの達人河村晴美氏です。というのも、チームのメンバー同士の仲は悪くなく、互いに協力し合っているように見えるけれども、目標達成ができない組織があります。このような状態をリーダーまして経営者は放置しているのは、職務怠慢です。 伸び悩んでいる状態から「成果を出せるチーム」へと成長し、それぞれメンバーがさらに飛躍できるようになるにはどうしたらいいのか?このような状態を打破するための仕組みと仕掛けについて、人財育成とチームビルディングに定評のある叱りの達人河村晴美氏が本コラムで解説しています。この理論はタックマンモデルですが、実際に活用して成果が上がった企業の実績や事例について河村晴美氏が解説しています。詳しくは叱りの達人協会公式サイトをご覧ください。https://shikarinotatsujin.com/
成果が上がるチーム作りのリーダーシップby叱りの達人

パッと見て、仲が良い状態が成果を上げるチームとは限らない

これは、顧客企業からよく聞く悩みの一例です。

経営者であれば、この状況は見逃してはいけません。
むしろ、成果が上がらない状態の危険アラートが鳴っているサインと言っても過言ではないのです。

経営者やリーダーは『仲が良い』という危険アラートを見逃してはいけない


ただし、この危険アラートにいち早く気づき、成長への一手を打てたならば、あなたのチームまたあなたの会社は、さらなる上のステージへ上がれます。

その方法が、チームが成長発展する4つの段階を説いた、タックマンモデルです。

リーダーの視座が低いと『仲が良い』落とし穴に気づけない

「なんとなく停滞しているチームの状況を打破したい」

このような問題意識をお持ちの経営者やリーダーは、以下の形成期の意味の解釈を楽観視していないからではないでしょうか?

リーダーの視座が低い
→ チームメンバーが仲が良い → 問題なし。けれども、なぜか成果が上がっていない(問題放置)

リーダーの視座が高い
→ チームメンバーが仲が良い → 問題あり → 手立てを打つ必要あり

リーダーの視座が高いと、仲が良い状態の本質に気づくことができます。
残念ですが、仲が良いことと、成果を上げるチームであることはイコールではあリません。

むしろ、成果を上げるチームに成長するプロセスにおいて、混乱葛藤のステージを経ていく必要があるのです。
そのプロセスを4つのステージで説明しているのが、タックマンモデルです。

チームが成長発展していく4つのステージ(タックマンモデル)

チームのメンバー同士の仲は悪くなく、互いに協力し合っているように見える。けれど、目標達成ができない月が続いている。
伸び悩んでいる状態から「成果を出せるチーム」へと成長し、それぞれメンバーがさらに飛躍できるようになるにはどうしたらいいのか?このような状態を打破するための仕組みと仕掛けについて、人財育成とチームビルディングに定評のある叱りの達人河村晴美氏による解説です。この理論はタックマンモデルですが、実際に活用して成果が上がった企業の実績や事例について河村晴美氏が解説しています。詳しくは叱りの達人協会公式サイトをご覧ください。https://shikarinotatsujin.com/
成果を上げるチームと成果が上がらないチームの違いとは by 然りの達人河村晴美

チームの成長発展していくプロセスのフレームワークとして、1965年、心理学者のブルース・W・タックマン氏が提唱した「タックマンモデル」があります。以下にそれぞれ4つの段階について解説します。

STEP
形成期:Forming

チームメンバーは初めての出会い、彼らの役割や目的についてお互いに理解しようと関わります。

STEP
混乱期:Storming

チームメンバーは互いに対立する考え方や目標があることが明確になります。
競争心や緊張感が抑えられ、チームの力学が不安定になります。

STEP
統一期:Norming

チームメンバーは、相互の強みや役割を認め、共通の目標を追求することに集中します。
チームメンバーは、意見の違いを超え、共通の価値観や信念を理解し、信頼感や協力関係を築きます。
(統一期を、規範期と訳されている場合もあり)

STEP
機能期:Performing

チームに結束力と一体感が生まれ、チームの力が目標達成に向けられます。

まず最初として、チームの立ち上げ段階が「形成期」です。一人で仕事をしていた時期よりも、数名のメンバーで仕事をするほうが、全体としてのパフォーマンスは上がります。しかし、しばらくすると、お互いの仕事の進め方や役割が違うために、衝突や葛藤、対立が生まれます。このフェーズが「混乱期」です。チームのパフォーマンスは一時的に低下します。

一時的にチームは衝突、葛藤、対立が生まれる

けれども、安心してください。決裂したわけではありません。むしろ、お互いをより理解しようと関わりは放棄していないのです。
「私たちのチームは、こういうやり方を大切にしよう」
「あの人にはこういう関わり方をすると、本人の持ち味が活きるよね」

といった共通認識のようなものが生まれます。これが「統一期」にあたります。

ここでの 統一とは、行動規範や価値基準を統一することです。明文化されていないが大事にされている価値基準や、暗黙のルールのようなものを統一することです 。カルチャーや風土とも言い換えることができます。

「混乱期」での衝突や対立を経て、統一期において「良い規範」が生まれて共有すれば、相手を活かし自分も活かされ、個々人がチームに適応できるようになります。

その状態を「機能期」と呼び、チームのパフォーマンスが向上していきます。

冒頭のようなお悩みを抱えているチームは、良い規範となる認識が共有できていなかったり、個々人に都合の良い規範や自分勝手なマイルールで仕事を進めてしまっていることで「機能期」を迎えられず、チームとして成果が出せない状態に陥っているのです。

メンバーで規範を共有できないと、チームは機能しない

上記の解説文章を、以下に1枚の図解に記します。

チームのメンバー同士の仲は悪くなく、互いに協力し合っているように見える。けれど、目標達成ができない月が続いている。
伸び悩んでいる状態から「成果を出せるチーム」へと成長し、それぞれメンバーがさらに飛躍できるようになるにはどうしたらいいのか?このような状態を打破するための仕組みと仕掛けについて、人財育成とチームビルディングに定評のある叱りの達人河村晴美氏による解説です。この理論はタックマンモデルですが、実際に活用して成果が上がった企業の実績や事例について河村晴美氏が解説しています。詳しくは叱りの達人協会公式サイトをご覧ください。https://shikarinotatsujin.com/
解説文章つきタックマンモデル(チームが成長発展するプロセス)by 叱りの達人河村晴美

しつこいかもしれませんが、大事なことなのでもう一度、お伝えさせてくださいね。

成果につながる「機能期」を迎えるために重要なこと
・反対意見を歓迎すること
・Yes/Noどちらの意見も、意味や意図を発言してもらうこと
・言い出しっぺが損をしてしないこと
・1人で抱え込んでしまう状態を無くすこと
・お互いに助け合うこと
など

上質な規範を創るための「統一期」の必須条件

高いレベルの「機能期」を迎えるためには、「統一期」における上質な規範を作れるかどうか、ここにすべてがかかっていると言っても過言ではありません。

成果を上げ続けるチームは、上質な規範をもっている


一方で、統一期に上質な規範が作れなかった失敗の理由は「混乱期」に隠されています。

そもそも、リーダーが「〇〇という価値基準を大切にしよう!」と呼びかけたからといって、規範は自然と醸成されるわけではありません。衝突や葛藤、対立といった「混乱期」を経た結果、生まれるものなのです。

とかく、リーダーは自分のチームで衝突や対立が起きていると、その衝突を解消しようとしがちです。なぜならば、多くの日本人は「和を持って貴しとなす」スタンスで、意見の対立さらには喧嘩は慣れていません。しかし、仕事は遊びではありません。一定の成果が求められる活動です。

よって、成果を上げるチームに成長していくためには、リーダーはメンバーを信頼し、健全な衝突させることが大事なのです。

例えば、組織の中でよく起こるのは、製造部門と営業部門の意見の衝突です。

製造部門の主張

・品質を高めること
・コストや納期を守ること

営業部門の主張

・売上を上げること
・顧客のニーズに応えること

両部門とも共通の目的

製造部門そして営業部門の両方の目的は「顧客に良い製品を提供すること」です。
しかし残念なことに、それぞれの役割や大切にしているものの違いから衝突や対立が起きています。

これは、どちらにも「正義」があり、いずれも正しい。ここで 衝突を避けることなく、お互いが納得いくまで議論を行うことが、チームの規範をつくるうえで欠かせないプロセス となります。

衝突を避けるとデメリット発生の危険あり

逆に衝突を避けてしまうと、2つのデメリットがあります。

衝突を避けてしまうことの2つのデメリット
1:能力の出し惜しみ、本領発揮されなくなる
2:本音を語らなくなる(陰で不平不満を言う、退職が出るケースあり)

1つは、メンバーが他者との積極的な関わりを減らすようになることです。すると、部分最適でしか力を発揮できず、みんなで力を合わせてより大きな価値を生み出すことをやめてしまいます。

もう1つのデメリットは、メンバーが本音をさらけ出す機会を失うことです。本音を胸の内にしまって別の場所で陰口を言ったり、メンバーが孤立したりしてしまうのです。最悪の場合、対立しているメンバーの誰かが退職することになりかねません。

衝突には2つのタイプがある:不健全な衝突 vs 健全な衝突

ただし、自分の正義を周囲に押しつけたり、相手への配慮なく感情をぶつけたりするだけの衝突はNGです。
自分の正義が常に正しいと思い込むのは、独善的です。
口論や喧嘩に発展してしまうと、挙句には関係性が修復できなくなってしまいます。これは「不健全な衝突」です。

一方で「健全な衝突」もあるのです。「健全な衝突」とは、意見の違いが起きたときに、それぞれの視点を率直に伝え合うことです。 そして、互いに異なる視点を受け止め合った上で、納得いくまで対話を行うことです。

不健全な衝突
・独善的な正義を相手にぶつける
・自分の正しさを優先し、相手の意見に耳を傾けない
・自分中心かつ自分が上

健全な衝突
・自分の意見と同じく相手の意見に関心をもつ
・自分の意見の抜けもれなど、自分を疑う理性をもつ
・相手の意見さらに意図に関心をもつ
・相手と自分は対等である

混乱期において、このような対話を繰り返していくことで、チームの視野が広がり視座が高まります。
より高い視座で、物事の判断や考え方などの共通認識が磨き上げられていくのです。

成果を上げるチームの特長。それは「相互理解」

チームに「健全な衝突」を促すためのカギは、何でしょうか?

それは、 形成期で育まれる「相互理解」 です。

相互理解とは、本人も相手も知っている状態を意味します。この関係状態をつくるためには、「この人にはここまで言っても大丈夫」「厳しい意見でも絶対に受け止めてくれる」といった信頼関係が構築されていないと、相手に心を開くことはできません。
Googleの高いパフォーマンスが発揮できているチームの共通特性でも有名になった言葉ですね。相互理解ができているとは、心理的安全性が高い状態とも言い換えられます。

相互理解を深めていくためには、2つのアプローチを行うと良いです。それは、自己開示とフィードバックです。

相互理解を深めていくための2つのアプローチ
①自己開示
②フィードバック

この2つを行う目的は、「視点・視野・視座」のちがいを知るためです。

上司または年長者だからといって、視点が鋭いとか、視野が広いまた視座が高いかというと、一概には言えません。むしろ、年下の方でも、鋭い視点をもっている人もいますよね。

相互理解は、マウント取りではありません。視点・視野・視座は、良し悪しや優劣ではありません。
他人と自分はちがうということの理解をすることが大切です。

同じ時に同じものを見ていても、着眼点のちがい、見通しの広さ、解釈の深さや本質を抽出する思考力などのちがいが、お互いに異なることを発見することができるのです。

視点・視野・視座について
視点:着目したことやもの。着眼点
視野:見通した範囲
視座:目線の高さ
 *視座が高いと視野は広くなります

リーダーは、メンバーの力を結集して目標達成を実現させる

リーダーの役割は、メンバーの能力を結集させて、目標を達成させることです。そのためには、混乱・葛藤・対立を恐ることはないのです。成果を上げるチームへ変革させるために、混乱期は必要なプロセスと理解しましょう。

そして、混乱期こそが、お互いに厳しいフィードバックを受け入れる、つまり「叱る」が機能する時なのです。
なぜ、叱る指導を含む厳しいフィードバックが必要なのか?

それは、チームとして成果を上げるためです。

このコラムをチームメンバーとの意識共有に活用してみてください。あなたのチームまた所属する組織が、成果を上げるチームに変革していくためのリソース(知的資源)になれば幸いです。

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