「それぐらい自分で考えろ」パワハラは上司が言語化を逃げているからです

「それぐらい自分で考えろ!」職場で、上司が部下へなげかけるパワハラ言葉としてよく言われます。さて、この言葉は機能しているのでしょうか?
部下は「よく考える」ように行動変容したのでしょうか?部下の行動変容が無いということは、上司の指導が機能していないということです。何について考えるのか?上司は部下メンバーへ、何について考えるのか?そもそも、内容について全く触れていないことが問題です。考えることついて、端的にいうと2つです。目的そして手段です。 「それぐらい自分で考えろ」マウントを取るだけで、実は中身のないハッタリ言葉をいうことは部下メンバーへの嫌がらせ、またはいじめです。 なぜ、こんなことになっているのか?その原因は、上司が言語化を逃げているからです。 詳しくは、本コラムに解説されています。 さて、河村晴美氏は、経営者の悩みを受け止め、社員と社長と信頼を繋ぐ組織強化、人材育成を指導しています。パワハラ問題など社会の課題の課題解決に向けて、さらに活動を広げている。パワハラの解説、部下育成や職場コミュニケーションの講演研修コンサルティングの情報は、叱りの達人協会公式サイトをご覧ください。https://shikarinotatsujin.com/

パワハラに陥るミス・コミュニケーションの起点

部下の行動変容が無いということは、上司の指導が機能していないということです。

これはとても残念なことです。

このケースでは、部下がよく考えるようになり、成果を上げるようにならなければ、上司の言葉は効果があるとは言えずに、上司の部下育成に効果が現れていないということです。

では、どのような部下指導をすれば良いのか?

方法論の選択肢を広げる前に、行う必要があります。
それは、「考える」対象についてです。

何について考えるのか?

考える対象について、上司と部下は共有しているのでしょうか?

この出発点が共有されていないと、部下は自分は考えたつもりになっていますが、上司は部下が考えたとは見なさない。

出発点がすでにかみ合っていないことに両者が気づいていないために、誤解に奔走されて徒労になってしまうののです。

「考える」対象を2つに分ける

仕事を、WHAT?とすると、「考える」対象は、2つです。

1、仕事の方法を考える

いわゆる、HOW?です。

仕事を進めていくための方法について、選択肢を増やす。
選択肢を増やすことで、うまくいかないときは、やりかたを変えて再チャレンジができます。

いわゆる、PDCAサイクルをグルグル回すことです。

仕事の当事者として、部下が自分で考え出すことが重要です。
理由は、他者からやり方を指示されると、うまくいかなかった場合は、被害者意識をもつことがあるのです。

(上司が言ったんだから、私のせいじゃない)
(ほら、だからうまくいかないんだ)

自分で決めていないと、責任を引き受けずに他責するのです。

人は自分でやり方を考えたときに、責任者意識が芽生えるのです。
うまくいかなくても、最後まであきらめずに取り組む、そのためには、自分でやり方を考えて実行させることが大切なのです。

2、仕事の目的、理由、意義を言語化する

こちらは、WHY?です。

仕事は、何の障害もなくスムーズに進むことはほとんどありません。
大小なにかしら、難局があるものです。

それは、方法論の行き詰まり以外に、関係者を鼓舞して能力発揮させることが必要不可欠です。

それには、仕事の目的、理由、意義を共有することです。

「この仕事は何の為に行うのか?」
「このプロジェクトは、誰を幸せにするのか?」

仕事そしてメンバー達の存在価値を自覚することです。

仕事の目的、意義を言語化し、存在理由が自覚できているプロジェクトは強いです。

共有できていないプロジェクトは、困難にぶつかったときに空中分解してしまうことはよく見かけます。

共有しているプロジェクトは、困難を乗り越えるたびに、ピンチをチャンスに成長の糧にして、結束が強まります。そして、成功をおさめます。

物事を成就させるために、関係者の能力を引き出し合い、才能の最大効果を図るためには、仕事の目的、理由、意義を言語化して伝える。

これは、リーダーの仕事です。

上司と部下の「考える」内容の役割分担

上司のみなさんは、部下へ、1と2を分解せずに「考えろ!」と投げていませんか?

もしそうであれば、部下が思考停止してしまうのも無理はありません。

部下の思考停止は、やる気や能力の問題ではないのです。

(何について考えたら良いのだろう・・・)
部下は、戸惑っているのです。

上司は、1と2に分けて、部下へ渡すことです。

仕事において考えるべき内容について

1: 手段・方法の選択肢を広げる
2: 仕事の意義・目的・理由を言語化する

それぞれの役割分担を考えてみましょう。

1は、部下の仕事です。そして、2は、上司の仕事です。

2を部下にさせることは、上司の仕事を部下へ委ねているのです。

上司よりも部下が「2:仕事の意義・目的・理由を明確に言語化する」ことができたならば、上司と部下のポジションが入れ替わらないといけないかもしれません。

言語化とは、概念の創造です。

概念の創造とは、まさに価値構築です。

言語で価値構築することは、思考力そのものです。

現代の知的生産ビジネスの本質価値は、「思考力」です。

上司と部下の上下関係は、社歴の長さではありません。

「思考力」の発揮の差異が、価値構築した成果の差異なのです。

上司が部下へ「考える」部下育成方法

部下の思考力を磨く指導方法には、順序があります。

Step①:手段・方法の選択肢を考える
Step②:実行
Step③:検証
Step④:仕事の意義、目的、理由を考える
Step⑤:言語化したことを関係者へ共有しフィードバックを受ける

パワハラ予防と仕事のやりがいはつながっている

仕事を担当した本人の考え、意図、念い(おもい)を仕事に実装する

これこそが仕事のやりがいです。

思考力の発揮こそが仕事の誇りです。

自分を活かすとは、人間の崇高さである思考力の発揮そのものです。

パワハラは、人間の尊厳をくじけさせる卑劣なことです。

「自分で考えろ!」

これ自体がパワハラ言葉、パワハラワードになるのではありません。

考えるべき内容について、一段深めた仕訳をせずに、部下へ丸投げしているために、パワハラになってしまうのです。

このようなことが、実は日々の職場で勃発しているのではありませんか?

パワハラと仕事の誇りは、二項対立しているわけではありません。

パワハラが起こってしまう誤解をときほぐすことが、仕事の誇りを再認識させてくれるのです。

まとめ

パワハラ防止は、心構えや精神論ではありません。
パワハラ防止には、思考力を発揮させる言語分析が有効です。

パワハラ言葉について
言っていることより、言っていないことを見よ

上司が思考力を磨くと、パワハラに至る前さばきができます。
そして、部下の思考力も磨かれます。

パワハラへの予防と解決を講じるよりも、一段上に昇華させて「思考力強化」でパワハラを解消させる。

パワハラ対策には、解決への対処法ではなく、本質をとらえた予防が結果的に経営効率にも効果を発揮します。

パワハラ防止対策は、単なる禁止事項のお題目ではありません。
貴社の事業発展のきっかけとして、さらなる組織強化につなげてみませんか?

叱りの達人協会(有限会社ハートプロ)]]>

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