パワハラと指導のちがいとは?「リスペクトトレーニング」叱りの達人解説

理不尽を「リスペクト」で駆逐せよ 制作現場を変えるNetflixの本気という記事が、Forbesより2021年5月に出ました。

映画界で以前から慣行されていたハラスメントが、Metoo運動によって明るみになり、業界に先駆けてNetflixがオリジナル作品を製作する際に、必ずリスペクトトレーニングを導入しているという記事です。

目次

パワハラと、適切な指導との違いの線引きはどうする?

仕事に真剣であればあるほど、譲れないラインがあります。これを、ポジティブにとらえれば「こだわり」です。あと一歩、もうワンステージ上の成果物を創り上げることで、圧倒的な価値で差別化できるようになれる、というのはビジネスではよく言われる言葉です。

一方て、周囲の意見を寄せつけないことをネガティブにとらえると「融通がきかない」頑固、独善的と受け取られます。すると、周囲から賛同が得らないですし、周りの人は疲弊してストレスやメンタルダウンを引き起こしてしまいかねません。

例えば、上司が部下へ「こんなレベルではダメだ!」と怒ったり、威圧されたり、マウントをとられたりするケースは、吊るし上げで解決やより良い価値創造にはなっていません。

大事なことは、意見をぶつけあうこと自体は悪くないのです。むしろ、正解のない状況においては、意見をぶつけあうことで意見を収斂し、よりより解決策へ磨き昇華させていくことができます。

ただし、意見をぶつけあう時に、相手を侮辱したり、軽んじたり、人格否定や人権侵害に触れるような発言や行為は、必要ですか?ということなのです。

それって、リスペクトしている行為ですか?

「自分の鈍感、他者の敏感」のギャップに気づく

「これくらいいいだろう」と自分では許せることであっても、他社にとっては「不愉快」「人格をないがしろにされた」と感じることがあります。つまり、自分の認識と相手の認識は、必ずギャップがあるということです。そして、多くの場合は、自分に甘いのです。

人間は、自分に甘い

この事実に気づくことが最初の一歩です。その上で「自分の今の発言または行動は、リスペクトに反していないか?」を省みる習慣を身につけることが大切です。

自分で制御できないと、ハラスメント問題に発展する危険がある

リスペクトトレーニング導入のメリット

研修を導入した企業の事例です。

ある若いスタッフが、社内イントラネットの使い方が覚えられない年上のスタッフをからかうような発言をしたそうです。

■導入前の職場のワンシーン 👎

「こんな簡単なITスキルも覚えられないんですか?もしかして、認知症ですか?」

そのやりとりを見ていた別のスタッフが「その一言にはリスペクトが足りないんじゃないですか?」

すると、若いスタッフはその場ですぐに年上スタッフへ素直にお詫びを言ったそうです。

経営者を含む組織全員で、リスペクトトレーニングを受講していたからその場で対応できたことです。全員で共有認識ができているからこそ、お互いに制御し合える。これが、社内の風土を作り、お互いを尊重し合う社風、文化を作る土台になります。

リスペクトトレーニング参加者の気づき

■男性(50歳代 管理職)

善悪、優劣など、今までは「自分の考えが正しい」と思い込んでいました。しかし、他者と自分の価値観の違いに気づき、相手の考えにも一理あると思える瞬間が何回かありました。自分の考えに固執することで、実は自分の視野が狭くなっていくことに気づけました。と言っても、いつでも相手の意見が正しいとなびくだけではこれもまた違うと思いますので、相手の考えをうまく取り入れながら、自分の考えを昇華して、全体最適で解を見つける柔軟性を身につけたいと思いました。

■女性(30歳代 マネージャー職)

今までずっと、自分の意見に自身がもてませんでした。というのも、上司へ提案してもことごとく「それじゃない」「そこじゃない」と否定されていたからです。実は、否定されると怖くなって「何が悪いのか?」「どこを改善すれば良いのか?」否定の理由を確認していませんでした。今回のリスペクトトレーニングで気づけたのは、自分へのリスペクトが足りていなかったことです。
河村先生が、相手の意見を尊重することと迎合することはちがうと仰った時にハッとしました。相手の存在価値はまるごと尊重した上で、到達したいゴールはしっかり共有する。その上で、相手の意見と自分の意見の何がちがうのか?を冷静に分析して、最適は方法は何か?を率直に話し合うことが大事だと気づきました。それができるために、私に足りなかったことは、自分の意見を相手が理解できるように伝えるスキルです。論破ではなく、誠実に向き合うために、説明する・伝えるスキルを身につけたいと思いました。リスペクトとは、単なる精神論ではなく、具体的なスキルとして学べたことが私の大きな前進となりました。

■リスペクトトレーニングの効果

・論破ではなく、お互いの能力を引き出し合うコミュニケーションが身につく
・他者の考えに耳を傾け、寛容性を育みながら、最適解の合意を引き出す
・自分と相手の価値観を高め合える
・自分の価値観の重み付けに気づける
・無意識に自分をしばりつけていた「あるべき論」に気づいて自己呪縛から解放される
など

パワハラ禁止だけでは、現場は回らない現実

2020年6月にパワハラ防止法が改正され、2022年4月には、中小企業を含むすべての事業者にパワハラ問題への取り組み(予防と対策)が義務化されました。

ただし、法律では禁止行為については「職場のハラスメント6類型」としてわかりやすくまとめられているのですが、「では、どうやってメンバーを動かすのか?」が示されていません。

当たり前ですが、法律に正しい経営方法や売上を上げる指南は記載されていません。

パワハラ防止法は、経営指南ではない

リスペクトで生産性が上げる

スタッフ同士がリスペクトし合うと、組織にはどんな変化が生まれるでしょうか?

ある企業の事例です。

組織全体でリスペクトコミュニケーションを実践した結果

・ミスを隠すことが減った
・上司が部下へ無駄に起こることが減った
・部下が自ら進んで報告・連絡・相談する回数とスピードが上がった
・悪口や陰口が減り、ネガティブな発言が減った
・自ら進んで、仕事の効率ややり方について考えるようになった
・仲間と力を合わせて一緒に仕事をしていることが楽しいと感じられるようになった
・病欠や体調不良が理由による欠勤が減った

さらに「楽じゃないけど「がんばろうという意欲が高く維持できるようになった」と仰る声が増えました。

リスペクトが習慣化された効果

楽じゃないけど「がんばろうという意欲が高く維持できるようになった

リスペクトは、叱る育成と真逆では?

然りの達人協会による「パワハラと言われない叱り方」とは、敬意(リスペクト)と厳しさを両立させて、感謝される叱り方の図解を解説。叱りの達人協会による叱り方研修には、リスペクトトレーニングが必須で含まれている。それが、叱りの達人河村晴美が提唱する「叱るとは使命感の愛」
叱りの達人協会による「パワハラと言われない叱り方」(敬意と厳しさを両立させて感謝される叱り方」

リスペクトトレーニングは、叱り方トレーニングと矛盾しているのではないか?と思われた方もいるかもしれません。

がしかし、叱りの達人協会がお伝えしている「叱り方の極意」には、リスペクトは必須なのです。叱る前には、信頼関係構築が外せません。その人間関係を構築する土台作りに相当するのが、リスペクトなのです。

具体的には、古代ギリシャの哲学者アリストテレスが提言している、人を動かす技術(エトス・パトス・ロゴス)の中でも最も重要であるエトス(尊重・倫理・信頼)を「叱りの達人研修」に含まれています。

リスペクトを実践して、信頼関係を醸成された上で、叱り方の技術が活かされる

■まとめ

人は、自分を軽んじられる環境で仲間や組織に貢献したい意欲はわきません。自分を重んじてくれることで、能力を発揮し、仲間へ貢献したいと思い、がんばろうと動きます。

組織が心理的安全性を提供する。その一環として、自分も相手も尊重するリスペクトトレーニングは、社員のエンゲージメントを高めます。

ぜひあなたの会社でも、お互いに尊重し合う活動を行ってみてください。

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