【上司必見!】部下から足元をすくわれないためのパワハラNGワード5選

目次

上司が部下も自身も追い詰める、余計なひとことパワハラNGワード

ある日の職場でのシーン。あなたの職場でも見たことはありませんんか?

上司:ほんとに、きみはいつも仕事が遅いなあ。そんなことでは、どんな仕事も完成させられないよ
部下:もっ申し訳ございません・・・

冒頭の会話は、職場でよく見かけるシーンですよね。あなたも、ついこんな言葉を言ってしまったことはありませんか?

今回のコラムは、上司のための「つい言ってしまった」口ぐせをやめる方法の本質論です。

■パワハラNGワードになる危険あり

「きみは、いつも仕事が遅いな」
「絶対、きみはその仕事に向いてない。まちがいない」
「きみは、ほんとに何もできないな」
「きみのやることは、とんちんかんなことばっかりだな」
「みんなが、きみとは一緒に仕事したくないと言ってるよ」

もしかしたら、自分では気がつかないうちに、無意識に使っている口ぐせが、自分の立場を危険に追い込んでしまうかもしれません。

「えっ!?上司のわたしが、部下に足元をすくわれるだって?それって、逆なんじゃないの?」
そう思われた上司もいるかもしれません。書き間違えではありません。

実は、上記のセリフに含まれる言葉に、発言者の固定概念がかくれています。今のうちに、部下から誤解されないように、自分の固定概念に気づくことから始めましょう。

部下から足元をすくわれないための「パワハラ口ぐせ5選」

さて、自分では気づいていない固定概念は、発言のどこに表れているのでしょうか?

■自分では気づかない固定概念が表面化された「パワハラ口ぐせ5選」

①いつも
②絶対
③何もできない
④ばっかり
⑤みんな

さて、なぜ上記の言葉がパワハラ問題の引き金になりかねないのでしょうか?

口癖とは、本人の固定概念が作り出した「脳内言語」

①いつも

実際には2,3回程度かもしれないのに、「いつも」と一般化すると、部下から反発されます。

部下から見ると、あやふやな状況で評価されていると感じて上司へ反感を持ってしまいかねません。

部下の本音:「いつも」って、具体的にいつを指しているの?

②絶対

ついつい「絶対」と断定してしまいがちになります。
しかし、例外もあるはずです。

言い切りトークも必要です。
しかし、こと部下を叱る場合には「絶対」と言うと、未来永劫、変化の可能性を封印するように聞こえますので、使わないようにしましょう。

部下の本音:絶対って、例外は無いの?絶対って言い切れる根拠は何?

③何にもできない

「何もできない」と言うと全てできないように聞こえます。はたして本当にそうなのでしょうか?

今までできたこともあるはずです。できたこと、できなかったことの分別することで、事実なのか?と想像なのか?分けることができます。

さらに、今はできないと言うことは、現在はできないけれども、これからの将来はどうなるかは未知数です。

未来は誰にもわからないこと。
過去から現在の成長の延長線上に未来は確定されません。

むしろ、伸びしろの成長の可能性を考えるならば、「今できなくても、未来はできる可能性が残されている」と考えるのが合理的思考です。

部下の本音:何もできないって、できていることはスルーしてない?できたことを見たの?

④ばっかり

これも、1つのできごとを全て一般化しています。
例外を見つける視点をもつことで、偏見や先入観を排除して、冷静に現実を見つめる視点を養うことが大切です。

部下の本音:「◯◯ばっかり」と言うけれど、例外は無いのか?

⑤みんな

子どももよく使うセリフです。例えば、子どもが「クラスのみんなが持ってるから、私にもスマホを持たせて欲しい」と言ったので、「みんなって誰?」と聞くと、仲の良い友達2〜3人だったりします。つまり、皆とは全員という意味では無いのです。

職場で誰かが、「みんながお前と一緒に仕事するのが嫌だと言ってるんだ」と言ったとしても、その時の「みんな」は、誰のことを指しているのでしょうか?

部下の本音:「みんな」って誰?具体的に個人名を列挙してほしい

なぜ、パワハラ言葉の口ぐせがでてしまうのか?

今回取り上げている「部下から足元をすくわれる上司の口ぐせ5選」に限らず、「部下からパワハラだ!」と言われてしまう言葉や口ぐせはやめましょう。しかしながら、口ぐせをやめるために、単に習慣をかえるテクニックを知っても役には立ちません。

というのも、いくらテクニックを知ったとしても、口ぐせがでてしまう本心が変わらない限り、別のパワハラワードを発して問題が起こるからです。

部下を尊重する姿勢があるかどうかが問われている

単に口癖を変えれば良いという表層的なことではなく、部下の人間性の尊重、存在の尊厳を重んじる、という根本からの意識を変える必要があるのです。

なぜ部下は「パワハラだ!」と言うのか?

パワハラについて、厚生労働省が明確に定義しています。

パワハラとは、(厚生労働省の定義)

職場のパワーハラスメントとは
(1)同じ職場で働く者に対して
(2)職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に
(3)業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為
をいいます。

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいいます。

定義にある通り、職務上の地位や職場内での優位性を背景に起きるのがパワハラです。

精神的・身体的苦痛を与えられたと感じたときに、我慢や泣き寝入りするのではなく、「パワハラだ!」と表明することで、パワハラ問題として顕在化するのです。と言うことは、端的に言うと

窮鼠(きゅうそ)ほぞを噛む

(意味)
追い詰められたネズミが逃げ場を失ったとき、必死で猫に噛みつくことがあるということです。

がまんの限界、臨界点を超えたといっても良いでしょう。そうなる前に、気づかないといけないのです。

パワハラと言われないために上司がやるべきリスクマネジメントとは

部下の我慢やストレスが溜まる前どころか、今ここで部下の表情や反応を観察して、類推することが、上司のリスクマネジメントなのです。

■上司自身のためのリスクマネジメントのための自己内省

上司の言葉を、部下はどのように理解しているだろうか?
上司の言葉を、改善への期待と受けとめてくれているだろうか?
上司の言わんとする思いを、部下は厳しい中の成長の期待と受け止めてくれているだろうか?

上司の発信した言葉と込められたメッセージが、部下に届かないと、伝わったことにはならないのです。

部下を伸ばす3つの視点

本コラム「部下から足元をすくわれる上司の口ぐせ5選」を反面教師として、学びを抽出しましょう。

部下育成の心得として、以下の3つをおさえることが大切です。

①一般化しない

1つの失敗から全てを解釈しないことです。また、失敗したできことから、人格や性格について言及しないことです。

上司の仕事は、部下の人格や性格を改善することではありません。それは、職務の範疇を超えています。越権行為です。

上司の仕事は、部下に成果をあげてもらうことを支援することです。成果を上げるために、部下に必要に応じて行動を変えてもらうことです。

②例外をさがす

一般化しないために、例外を探す客観的視点をもつことが大切です。「この人はこういう人だ」と偏見で決めつけないこと。

そのために、例外を探して上司自身が曇りのないフラットな目を養うことが大切です。

③今ここに集中

「この部下は以前はこうだったから、今もこうにちがいない」
「この部下は、今こうだから、きっとこれからもこうにちがいない」

過去から現在を類推するのは、1つの仮説です。
しかし、人は成長しますので、過去とは全く異なる現在に成長している可能性もあります。

また、今の延長線上で類推するのも、実はあやふやです。

自己突破、ブレイクスルー、ときに「大化けする」と言われるのが、成長確度が変わることです。

未来に向けて大きく変わることが実現するために、今ここの状況について叱ることが大切です。

まとめ:部下から足元をすくわれないために自己内省のススメ

「パワハラ口ぐせ5選」を起点として、以下を意識して言語化することが大切です。

今回のコラムでは、上司が部下から「パワハラだ!」と言われることに臆病にならずに済む方法をお伝えしました。

誤解される口ぐせは、自分の立場を悪くする

自ら進んで窮地に立つ必要はありません。まして、部下メンバーを人格否定する必要もありません。もし、言いすぎてしまいそうになった場合は、セルフフィードバック機能を発動しましょう。セルフフィードバック機能とは、自己内省です。次の問いかけを自分にしてみてください。

WHY:なぜその口ぐせを発してしまうのか?

HOW:どのように伝えると、部下は自発的に動くのか?

WAHT:何を言うと部下は自主自立して行動するのか?

上司の皆さんが部下に伝えたいことは、部下をくじけさせることではないはずです。
上司は「ついうっかり言ってしまった」と逃げてはいけません。

部下が自主自立して行動するために、上司の一言は金言の値打ちがあるのです。
上司は、自分の言葉の価値を自覚して、部下の成長を支援する言葉を投げかえていきませんか?

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