【パワハラ防止】上司は「怒り」に振り回されてはいけない

目次

怒りの感情の代償は大きい

怒ることで部下をマネジメントすることは良い方法とはいえません。 むしろ、逆効果になるでしょう。 最大の理由は、部下との信頼関係を壊してしまうからです。 さらなるデメリットは、自分の感情をコントロールできない人、自制心が無い人と見なされます。 すると、相手から尊敬されなくなるということです。冷静に考えてみましょう。 尊敬できない上司の言うことを前向きに、肯定的に、素直に受けとめる部下は、どの程度いるでしょうか? 要するに、自制心がないと、部下へ肯定的影響を与えることは難しくなるということです。 それほどに、怒りの感情の表出する代償は大きいのです。 部下をマネジメントするためには、まずは自分自身をマネジメントすること、特に怒りの感情を律する自制心を身につけることが重要です。

怒りの感情に絡めとられない方法

自分自身の怒りの感情に絡めとられないには、2つの方法があります。

■AKB呼吸法

怒りの感情をコントロールために、叱りの達人協会では【怒りをコントロールするAKB】をお伝えしています。端的には呼吸法です。 A:あっ、今自分は怒っていることに気づく K:呼吸と整え、息を吐く B:怒っているのでなく、ビックリした 怒りの感情がわいてきたとき、素直に自分の気持ちに向き合います。 感情をないがしろにするのではなく、怒りの感情がわいてきたことと向き合うことです。 そして、深呼吸します。深呼吸はまず息をゆっくり吐きます。吐ききってから吸います。 深呼吸をすると副交感神経が働き、気持ちが落ち着きます。 怒りの感情は2次感情と言われています。 実は、怒りの前には想定外のことが起きたことへの驚きに加えて、不愉快や不安、不満が渾然一体となって怒りの感情に増幅されていくのです。 よって、怒りの大元 “驚き”の感情に焦点をあてます。 こうして、怒りの感情をほどいていきます。 落ち着いてから、相手へ言葉をかけます。 「おいお前、どうなってるんだ!」が落ち着いてから声をかけると「どうなってるか、原因分析できる?」「君の見立てはどうなの?」と部下の思考を誘発するアプローチに変わります。 AKB呼吸法は、あくまでも緊急対応です。 その場で怒りの感情をいさめる方法です。

■ノートデトックス法

デトックスとは、浄化また毒出しのことです。 ノートデトックスとは、ノートまたは紙に自分のネガティブ感情を書き出すことです。 方法はとてもシンプルです。
①ノート(チラシの裏紙などでOK)に負の感情を書き出し、誘発した出来事も書き出す
②負の感情がわいてきた原因、理由について過去の体験をさぐる
③これから先に似たことが起きた時に怒りの感情がわいてこないように、負の連鎖を断ち切る
①は現在の出来事と感情にフォーカスしています。 ②は過去を検証し、③は未来へ活かすことです。

事例:Y氏の場合

たとえば、クライアントY氏のケースです。 カフェでの隣の席の男性ビジネスマンが、カチャカチャと大きな音でPCキーボードをたたいていました。 Y氏はその音が耳障りでイライラしました。 そのイライラが怒りの感情の導火線になったので、さっそくノートデトックス法を行ってみました。 すると、あることを思い出したのです。 それは、Y氏が新卒入社した大企業で、入社3年目の後輩スズキくんを思い出したのです。 スズキくんは周囲からの評価も高かったので、自分はいつも劣等感を感じていたことを思い出したのでした。 PCキーボードの音は不甲斐ない自分への劣等感を思い出させることだったのです。 Y氏はそのことに気づいたことで、負の感情を手放すことができました。 今では、周囲のPCキーボードの音を聞いたら「スズキくん、元気にしているかな?」と懐かしく思い出せるようになったとのことでした。 自分の心のクセを自覚することが、怒りの感情への根本療法です。

ノートデトックス法の注意点

ノートデトックス法の良い点は、ペンと紙さえあれば、いつでもどこでも気軽にできることです。 そして、注意点があります。 それは、日記のように文章にする必要はなく、怒りが湧いてきた順番に書き出せば良いのです。 そして、他人が読めないようななぐり書きが良いです。むしろ、他者に読まれると後々問題になるかもしれませんので、自分しか読めない暗号文のように解読不可能にしておくことをおすすめします。

まとめ

怒りの感情を封じ込めることができれば良いのですが、それは難しいです。 そして、怒りの感情は何かに執着しているために発生します。 怒りの根本に気づき、感情を手放すために、対処療法としてAKBの呼吸法を、根本療法としてノートデトックス法が有効です。 これは単に知っているだけは意味がありません。 日々実践することで、怒りの感情をコントロールすることができるようになります。]]>

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