松下幸之助が認めた「本当に素直な人」の共通点。部下の本質を見抜く「定観」の力とは

之助先生の言う「素直」の真意と、執着の手放し方について、然りの達人であり、パワハラ予防の専門家である河村晴美氏による解説です

「従順」と「素直」は違う。
松下幸之助の真意と、ビジネスの本質を見極める「定観」の教養

目次

物事をありのままに見る「定観」の力

人材育成の現場でよく「素直さが大事だ」と言われますよね。
しかし、私は「素直」には2つの種類があると考えています。

1つ目は、相手の言うことを「まずはやってみよう」と受け入れる姿勢。
これは「従順」に近い意味合いです。自分の固定概念を一旦横に置いて心を開くという意味で、成長の第一歩として非常に大切です。

しかし、本当に難しいのは2つ目の意味です。

経営の神様・松下幸之助先生が「素直であれ」と遺されたのは、決して「上司の言うことにハイハイ従う従順な人間になれ」という意味ではありません。

2つ目の素直とは、「物事をありのままに、偏見なく見る」ということです。

私たちはどうしても、自分のコンプレックス、過去の成功体験、我欲、あるいは「良くも悪くもプラス思考でいよう」という偏った色眼鏡(フィルター)を通して世界を見てしまいます。

これらをすべて脱ぎ捨てて、中庸の心で本質を見極めること。
仏教の言葉で言えば、まさに「定観(物事を正しく観察すること)」であり、「諸行無常」を受け入れる境地です。

「仏(ほとけ)」の語源は、固まった心が「ほどける」ことだという説があります。
つまり、固定概念や執着から心が「ほどけた人」こそが、本当の意味で「素直な人」なのです。

凡人の私たちにはなかなか難しいですが、だからこそ目指す価値があります。

裏づけとなる心理学:確証バイアス(Confirmation Bias)

心理学では、人間が「ありのまま」を見ることがいかに難しいかが証明されています。
その代表例が「確証バイアス」です。

人間は、自分がすでに信じていることや、自分の都合の良い情報(我欲や執着)ばかりを集め、それに反する事実を無意識に無視したり、過小評価したりする習性があります。

「あの部下はダメだ」という固定概念を持つと、その部下の悪い行動ばかりが目に飛び込んできて、彼らが息を吸って吐くように自然にこなしている長所や素晴らしい実績を見落としてしまうのです。

心が執着でカチコチに固まっていると、ビジネスの本質的なリスクやチャンスを見誤ってしまうのです。

明日から実践できる具体的行動

明日から実践できるワンポイント!

ステップ1:トラブルや意見の対立が起きたとき、自分の感情のラベルをはずす
ステップ2:『事実(ファクト)』だけをノートに書き出す
ステップ3:しみじみ読み返す

えっ、これだけ?
もしかしたら、拍子抜けしたかもしれませんね(笑)。

ビジネスで成果を上げている人、優秀な人、自分に厳しい人ほど、驚いたのではないでしょうか?

重要なことは、ジャッジしないこと です。

ジャッジとは、優劣などの指標でさばいたり、自分の価値観(思考傾向)で、素晴らしいとかよく無いことだとかの判断でとらえない。

(あ〜、そうなんだな)で、思考を止める。

これが『ジャッジしない』ということです。

「部下が反抗的な態度を取った」ではなく、「部下は〇〇という意見を述べた」という事実だけを見る。
自分のコンプレックスやプライドというフィルターから心を一回「ほどいて」観察する癖をつけてみませんか。

まとめ

素直とは、2種類ある

1つ目は、相手に心を開くこと。よって、素直=従順 と解釈されやすい。

2つ目は、固定概念から心を「ほどく」。物事の本質を見抜くこと。
「定観」とは、諦めるであり、明らかにすること。
「定観」の世界観は、ビジネスの本質的なリスクとチャンスを見極める方法として、とても役立つなあと感じました。

このブログ記事は、経営の神様、松下幸之助先生の終生重んじた言葉、『素直であれ』を叱りの達人である、河村晴美が解釈した内容です。

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